2008年12月14日
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高井戸地域の地政学・下高井戸、上高井戸、高井戸(東/西)の分割は必然か

Written By: 川俣 晶連絡先

 アイデアのメモだけ。

 高井戸丸太という言葉を強く意識するようになってから、実は高井戸と名が付く「下高井戸、上高井戸、高井戸(東/西)」の地域は3つに分類できるのではないかと思うようになりました。

  • タイプ1 甲州街道と玉川上水/神田川が近い地域
  • タイプ2 甲州街道に隣接するが玉川上水/神田川は比較的遠い地域
  • タイプ3 玉川上水/神田川は近いが甲州街道は遠い地域

 タイプ1はオールインワンです。1つの狭い地域内に、水田を持つ農業も宿場町も包含されます。神田川は水運にも利用できた可能性があります。また街道は商品作物を消費地である江戸に運ぶにも便利です。

 タイプ2は、タイプ1ほど水に恵まれません。用水があれば水田も可能とは思いますが、タイプ1ほど潤沢に水は使えないでしょう。また、水運は難しいかもしれません。宿場町としての機能性の割合がタイプ1よりも多いかもしれません。

 タイプ3は、完全に宿場町の機能性とは切り離されており、いかにして水を利用するかに特化した地域です。

 この3つのタイプは、その土地が持つ特性の相違があるために、異なる性質を持った地域になる可能性が考えられます。

そこではたと気付いた §

 そこではたと気付いたのは、実はタイプ分類と「下高井戸、上高井戸、高井戸(東/西)」の地域分類がかなり重複しそうだ、ということです。

 つまり……。

  • 下高井戸→タイプ1
  • 上高井戸→タイプ2
  • 高井戸(東/西)→タイプ3

 この認識は、「なぜ上でも下でもない高井戸という地域が存在するのか」という疑問に対する答になります。それは「上とも下とも異なる性質を持った地域であるが故に、分割して扱う方が適切だった」という可能性を示します。

 また、そこが「上でも下でもない高井戸」と呼ばれる理由は、まさにその地域が本場であった「高井戸丸太」のブランドが背景にあると考えれば解釈可能です。

補足 §

 上高井戸は玉川上水に接していますが、それによって即座に「水が使える」訳ではないことに注意が必要です。玉川上水の水は分水の許可を得て、それを経由しなければ使えませんでした。

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